サンソーとはどんなぶどう品種ですか?
簡潔な回答
サンソー(サンソウ)は南フランスと南アフリカに約2万3000ヘクタールが広がる地中海系赤品種です。軽やかで果実感があり、タンニンが少ない穏やかな性格から、プロヴァンスとタヴェルのロゼに重宝されます。南アフリカでは1925年にピノ・ノワールと交配され、現地固有品種「ピノタージュ」を生みました。
詳細な回答
サンソーはプロヴァンス発祥の古い品種で、ローマ時代のガリアにまで遡る痕跡があります。長らくアッサンブラージュとロゼに用いる「脇役品種」と見なされてきましたが、近年のナチュラルワイン運動とランクドックや南アフリカの古木再評価の波に乗り、新たな光が当てられています。
南フランスでは、コート・デュ・ローヌ、コート・ド・プロヴァンス、コトー・デクサン・プロヴァンス、ランクドック、ミネルヴォワ、コルビエール、そしてフランス唯一の完全ロゼ専用アペラシオン「タヴェル」の主力品種の一つです。ロゼにおけるサンソーの貢献は——イチゴ、グロゼイユ(スグリ)の果実感と絹のような質感——は、プロヴァンス・ロゼのブランドアイデンティティの一部を形成しています。
南アフリカでの歴史は更に興味深い展開を見せます。20世紀に大量植栽されたサンソーは、1925年にステレンボッシュ大学のアブラハム・パーロルド教授がピノ・ノワールと交配させ、南アフリカ固有品種「ピノタージュ」を誕生させました。まさに東洋の品種改良の伝統——異なる素材の長所を掛け合わせる創造の哲学——に通じる偉業です。現在、スワートランドとパールの古木(樹齢50〜60年)サンソーはナチュラルワイン生産者の間で高く評価され、軽やかで活き活きとした赤ワインへと仕立てられています。
驚くべき点:サンソーは一房のぶどうの中でも糖度と成熟度にばらつきが大きく、同じ房に熟した粒と未熟な粒が共存することがあります。これが収穫時の難しさとなる一方、収穫作業の人手への依存度が高く、手仕事の精神が特に活きる品種です。
フランスのナチュラルワイン運動においてサンソーの古木は「再発見された宝」として位置づけられています。特にパリの自然派ビストロで定番となった軽やかな赤(グラフアン系グラスで涼しく飲む)の多くがサンソーベースです。南アフリカでも、ヤンニック・バウウ(リラン・エステート)、パトリック・ヘドリック(ドライランド)らが古木サンソーで国際的な評価を得ており、ナチュラルワインの文脈でこの品種が「世界共通語」になりつつある点が興味深いです。ロゼの観点からは、バンドールのムールヴェードル主体ロゼとタヴェルのサンソー主体ロゼは南仏ロゼの双璧であり、どちらも熟成に適した稀有なロゼです。
サンソーのナチュラルワイン版は世界の自然派ビストロでの定番になりつつあります。薄膜酵母(フロール)が自然に発生する条件では古木サンソーが「酸化的熟成」の軌跡を描くことがあり、赤ワインとシェリーの中間のような複雑さを示します。このアヴァンギャルドな表現はワインの概念を拡張する試みで、伝統的な品種の概念を問い直す哲学的な実験でもあります。サンソーは世界でも稀な「軽やかにして深い」赤品種の一つであり、発見の価値があります。果皮が薄いため発色が淡く、ガメイと比較されることが多いですが、南フランスの太陽を浴びた独自の野性味を持っています。