シラー/シラーズとはどのようなブドウ品種ですか?
簡潔な回答
シラー(フランス名)/シラーズ(オーストラリア・南アフリカ名)はローヌ渓谷北部原産の赤品種で、コート・ロティとエルミタージュの最高峰を生む。ブラックペッパー・スミレ・ブラックオリーブ・スモークが特徴。オーストラリア(バロッサバレー)では「シラーズ」として全く異なる濃厚でジャミーなスタイルを確立している。
詳細な回答
シラーは旧世界と新世界で最も異なる表情を見せる品種の一つで、同名異品種かと思えるほどフランスのシラーとオーストラリアのシラーズは異なる。この対比自体がテロワールと気候の影響力を最も雄弁に語る事例の一つだ。
品種の起源:1990年代の遺伝子研究により、シラーはアルデシュ地方(フランス中央部)原産のデュレザ(赤)とサヴォワ原産のモンドゥース・ブランシュ(白)という二つの品種の自然交配であることが判明した。ペルシャのシラーズ市から来たという長年の俗説(十字軍説等)はDNA解析によって完全に否定された。
北ローヌのシラーは繊細さと複雑さで世界に類を見ない。コート・ロティ(ヴィオニエとの共醸)は花・スパイス・スミレ・ブラックベリーの優雅さ。エルミタージュは厚みのあるタンニン・燻製・ブラックオリーブ・ゲーム肉の力強さ。コルナスはより農村的で硬質。いずれも単一品種(コート・ロティのヴィオニエ最大20%を除く)で醸造される。熟成で獣臭(ジビエ)・革・スパイスの複雑さが発展する。
オーストラリアのシラーズは全く異なる。バロッサバレー(南オーストラリア)の温暖な気候が高アルコール(14.5〜16%)・豊かなブラックジャム・チョコレート・ユーカリ・スパイスのリッチなスタイルを生む。世界最古の現役シラーズ畑(1843年植樹のヘンシュケ「ヒルズ・オブ・グレース」)が生む老樹ワインは超凝縮した複雑さで世界的に珍重される。
南アフリカ(スワートランド)では自然派生産者が古木シラーズと土壌の相互作用を探求し、欧州的な繊細さを持つ新スタイルを確立しつつある。
驚くべき事実として、シラーとシラーズが同一品種であることは20世紀後半まで科学的に証明されていなかった。オーストラリアの生産者は長年「シラーズはシラーとは別品種」と思って栽培していた。1999年の遺伝子確認は産地間の歴史的断絶を連結し、二つのスタイルの比較という新たな知的楽しみを生んだ。
シラーの分子遺伝学研究(ボルドー大学・2001年)により、この品種がモンドゥーズ・ブランシュとデュレザという2つの希少品種の自然交配から生まれたことが判明した。シラーの発祥地はローヌ渓谷北部(コート・ロティ、エルミタージュ)であり、オーストラリアへは19世紀に持ち込まれ、そこで「シラーズ」という名称が定着した。興味深いのは、同一のクローンでも気候によって全く異なる品種のように振る舞う点で、冷涼なヴィクトリア州(オーストラリア)産のシラーズと、温暖なバロッサ・ヴァレーのシラーズは別品種と思えるほど異なる。expertvin.beでは、旧世界のシラーと新世界のシラーズを対比できる比較セレクションを定期的に提案し、同一品種の多様性という知的探求を楽しめるよう設計している。シラーの醸造においては、全房発酵とデステミング(除梗)の選択が最終的なスタイルを大きく左右する。クリスト・セラフィン等、コート・ロティの伝統的生産者は全房比率を高く保ち、茎由来のタンニンとスモーキーな複雑性を加える。対してオーストラリアのシラーズでは100%デステミングが一般的で、よりダイレクトで豊満な果実味が特徴となる。expertvin.beでは、旧世界の繊細さと新世界の力強さを対比できるシラー・シラーズのセレクションを常備しており、La Cave du Lac(Genval)でもご相談いただける。