ワインのタンニンとは何ですか?
簡潔な回答
タンニンとはブドウの果皮・種子・梗(こう)に含まれる天然のポリフェノール化合物であり、口の中に渋み・乾燥感をもたらす。赤ワインに平均1〜4g/l含まれ(白ワインは0.1g/l未満)、構造・色・熟成ポテンシャルに不可欠な役割を果たす。
詳細な回答
タンニンはフラボノイド系ポリフェノールの一種で、プロアントシアニジン(縮合タンニン)と加水分解性タンニン(エラジタンニン)に大別される。ワインに含まれるタンニンの多くはマセラシオン中に果皮・種子から溶け出す縮合タンニンである。エラジタンニンはオーク樽から移行するもので、より穏やかな質感をもたらす。赤ワインは平均1〜4g/lのタンニンを含み、白ワインは通常0.1g/l未満だ。
タンニンの重合度(ポリメリゼーション)は品質を語る上で重要な概念だ。若いタンニンは短い分子鎖を持ち、唾液タンパク質と強く反応して顕著な渋みを生じる。熟成と共に分子鎖は伸長(重合)し、唾液タンパク質との反応性が低下してシルキーな質感へと変化する。バローロやボルドーのグラン・クリュが20年後に劇的に変化するのはこの化学変化によるものだ。タンニンの分子量が増加すると、やがて沈殿物として瓶底に堆積する。これが古い赤ワインの自然な沈殿の科学的説明だ。
オーク樽熟成は第二のタンニン源となる。新樽で12〜18ヶ月の熟成を行うと、エラジタンニンが50〜100mg/l追加される。樽の産地(フランス産・アメリカ産)・製造者・焙煎度(ライト・ミディアム・ヘビー)・使用回数によってその影響は大きく異なる。一般的に、フランス産オークはより繊細なタンニンと複雑なアロマを与え、アメリカ産オークはより力強いバニラと甘いスパイスを提供する。
タンニンの「グレイン(粒子感)」を評価することは、ソムリエの高度な技術のひとつである。細かく緻密なグレインは偉大なテロワールと制御された抽出の証拠とみなされる。ネッビオーロ(バローロ)、タナ(マディラン)、カベルネ・ソーヴィニョン(ボルドー左岸)は高タンニン品種として世界に知られる。これらの品種が若いうちに非常に厳格で堅固なタンニンを示しながらも、十分な熟成を経た後には信じられないほどの絹のような質感を実現する。
タンニンが口腔内の渋み感を生じるメカニズムは、唾液中のプロリンリッチタンパク質との結合による。これが赤ワインと脂身の多い肉類のペアリングが優れている理由でもある。肉のタンパク質がタンニンと結合し、口中での渋みの知覚が和らぐのだ。日本の緑茶の渋みも同じカテコールタンニンによるものであり、日本人はタンニンの感覚に古くから親しんでいる。タンニンは抗酸化物質としての健康効果も近年注目されており、適量の赤ワイン摂取と心血管疾患リスクの関係についての研究が続いている。
タンニンと健康の関係も近年の重要な研究テーマだ。赤ワインのポリフェノール(タンニンを含む)は抗酸化作用が高く、「フレンチパラドックス」(脂肪分の高い食事にもかかわらず心臓病リスクが低いフランス人の現象)の部分的な説明として提唱されてきた。レスベラトロールを含む赤ワインポリフェノールの研究は今も続いている。ただし「健康効果のためにワインを飲む」という発想はまだ科学的に支持されておらず、あくまでも適量を文化的文脈で楽しむことが推奨される。