なぜ赤ワインは赤いのですか?
簡潔な回答
赤ワインの赤色はアントシアニン――黒ブドウの果皮に含まれる天然色素――がマセラシオン中に抽出されることで生じる。ほとんどの黒ブドウの果汁は実際には無色か薄いピンク色だ。色は発酵期間・pH・アントシアニン濃度(品種によって200〜1,500mg/lと大きく異なる)によって変化する。
詳細な回答
赤ワインの色は果皮のみから来る。果皮なしにブドウを圧搾してすぐ果汁を分離すると白色か非常に薄いロゼ色の果汁が得られる。ピノ・ノワールという黒ブドウから白シャンパーニュ「ブラン・ド・ノワール」が造られるのはまさにこの原理による。
アントシアニンが色の発現分子だ。これらは水溶性ポリフェノールで、果皮細胞の液胞に存在する。ブドウの主要なアントシアニンはマルビジン(最も豊富で青紫色の発色を担う)、デルフィニジン、ペツニジン、シアニジン、ペオニジンだ。品種によって濃度は大きく異なる。ピノ・ノワールは約200〜400mg/l、タナは1,500mg/lを超えることもある。
マセラシオンが重要な工程だ。アルコール発酵中に果汁が果皮(そして時に種子と梗)と接触し続ける。生成されるアルコールが溶媒として機能し色素の抽出を促進する。浸漬時間が色の強度に直接影響する。3〜5日ではロゼ、7〜14日では淡い赤、21〜30日では深い赤となる。
色は時間と共に進化する。不安定な遊離アントシアニンはタンニンと次第に結合してより安定した色素ポリマーを形成する。若いワインが鮮やかなパープルで、5〜10年のワインがルビー色となり、20年以上経過するとテイル(赤褐色・オレンジ)に変化するのはこの化学変化による。
pHも色調に影響する。低pH(3.3未満)ではアントシアニンが鮮やかな赤を呈し、高pH(3.7超)では青紫に傾く。これが酸性度が高いワインの色がより赤鮮やかである理由だ。
驚くべき事実として、テインチュリエ(染色品種)と呼ばれる特殊なブドウ品種は果肉まで色素を含む。アリカント・ブーシェやサペラヴィがその例だ。これらの品種は薄い赤ワインに色を補う「カラーワイン」として使われることがあるが、高品質なワインでは用いられない。日本の赤しそが食べ物を染める自然色素として使われるように、植物の色素は各文化の食の美学と深く結びついている。
ワインの色と食のペアリングにおける視覚の役割も興味深い。赤ワインの深い色がステーキや赤身肉への期待を高め、白ワインの澄んだ淡い色が魚介類への親和性を示唆する。これは視覚が味覚に影響する「色彩の先入観」だが、文化的に確立されたペアリングの基礎にもなっている。科学的には「見た目の色」と「実際の味わい」が必ずしも一致しないことがあり、例えばロゼのシャンパーニュは白のシャンパーニュとほぼ同様の成分を持ちながら、ビジュアルだけで異なる味覚体験をもたらす。
色の退化と品質の関係について誤解のないように補足したい。非常に古い赤ワインがほぼ透明に見えるほど色が抜けても、アロマと構造が保たれていることがある。これは色素(アントシアニン)の量とワインの品質は完全には相関しないことを示す。むしろタンニンと酸の構造がワインの長命性を支える主要因であり、色は二次的な指標に過ぎない。テロワールと醸造の卓越さが色の美しさよりも保存力を決定する。