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アルゼンチンとチリのワインで知っておくべきものは?

簡潔な回答

アルゼンチンの代表ワインはメンドサのマルベック(世界最大の栽培面積、4万3000ヘクタール)で、世界標準を確立した。チリはカベルネ・ソーヴィニョン(マイポ・バレー)、カルメネール(固有品種)、ソーヴィニョン・ブラン(カサブランカ)が国際評価が高い。両国ともアンデス山脈が最重要のテロワール要素だ。

詳細な回答

アルゼンチンとチリは南アメリカのワイン二大国で、アンデス山脈を境に位置する。この山脈は単なる地理的境界ではなく、両国のワインのテロワールを決定的に形成する存在だ。アルゼンチン側(西風を遮断)は乾燥した高地、チリ側(太平洋の影響)は冷涼な海洋性気候の恩恵を受ける。

アルゼンチンはマルベック品種で世界的アイデンティティを確立した。フランス・カオール起源のこの品種はアルゼンチンでは全く異なる表情を見せる。メンドサ(海抜600〜1500m)の高地・乾燥した大陸性気候・強烈な日照と昼夜の寒暖差が、凝縮した黒果実・スミレ・チョコレートの豊かなスタイルを生む。メンドサ内でもルハン・デ・クヨ(標高600〜800m)、ウコ・バレー(800〜1500m、より冷涼・繊細)でスタイルが異なる。トルロンテスという白固有品種も国際市場で独自の地位を持つ。

チリは多様な気候帯の共存が強みだ。北部(アタカマ、コピアポ)は砂漠的で色濃いブドウが育つ。中部(マイポ、カチャポアル、コルチャグア)はカベルネ・ソーヴィニョンが世界クラスの赤を生む。太平洋に近いカサブランカとサン・アントニオは冷涼でソーヴィニョン・ブランとシャルドネが際立つ。

カルメネール(Carménère)はチリ最重要の固有品種だ。フィロキセラ前にボルドーで栽培されていたが19世紀末に絶滅し、長年「メルロ」と誤認されてきたチリ産ブドウが1994年のDNA研究でカルメネールと特定された。ピーマン・チョコレート・タバコの特徴的なアロマを持つ。

驚くべき事実として、チリはフィロキセラ(1860年代に全欧州のブドウ畑を壊滅させた害虫)の被害を受けていない世界で数少ないワイン産地の一つだ。アタカマ砂漠・アンデス山脈・太平洋・南極からの寒流に囲まれた地理的隔離がフィロキセラの侵入を防いだ。現在も多くのブドウが「自根(フィロキセラ耐性台木への接木なし)」で栽培され、これがチリワインの長命さの一因とも言われる。

アルゼンチンとチリの両国は近年、単一区画や高地栽培という新たなアイデンティティを模索している。メンドサのウコ・バレー(海抜1000〜1500m)の冷涼さから生まれる複雑なマルベック、チリの「グラニット・ゾーン」(マウレ等の花崗岩土壌)の力強い赤など、テロワール表現への傾倒が南米ワインの次のフェーズを形成しつつある。南米ワインは欧州の格付けシステムや伝統に縛られない自由さが強みだ。実験的なオレンジワイン、アンフォラ醸造、ビオディナミ農法など、新しい試みが産地全体に活力をもたらしている。特にアルゼンチンの若い世代の醸造家(「ガラヘロス」と呼ばれる少量生産者)が世界市場で注目を集め、南米ワインの未来を形成している。チリの固有品種カルメネールは今後さらなる評価向上が期待される。DNA研究(1994年)で別品種と判明してからも、生産者たちはカルメネールのポテンシャルを真剣に探求し始めた。現在ではカルメネール専門産地(カチャポアル、コルチャグア等)が世界市場でこの品種の代表者として確立されつつある。チリがマルベック(アルゼンチン)に相当するシグネチャー品種として育てている。

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